◆バウムテストの定量的診断支援システム
1. はじめに
我々はこれまでに,人格審査テストの1種であるバウムテスト(樹木画テスト)の定量的な診断を支援するためのシステム構築を目的として,画像処理と筆記動態の分析から描画特徴の抽出を試みてきた1)2).本年度は,バウムテストの実施範囲の拡大を目指し,より利便性の高い診断支援システムの構築を試みた3).
2. 画像処理による診断支援システムの構築
2.1 特徴量の変化の可視化
心理状態の変化を観る目的で,1人の対象者に期間を空けて複数回のバウムテストを実施する場合がある.そこで,同一人物が以前に描いたバウムを検索・表示できる機能を持たせ,バウムの解析から得られた特徴量の変化を,レーダーチャートを重ねることによって可視化する.ここでの特徴量とは,バウムの平均濃度値,見かけの大きさ,左右の割合,対称性,傾斜度,樹冠および幹の高さ・最大幅・対称性の計12個である.
2.2 類似画像の検索
現在,就職試験にバウムテストを実施している企業がある.そのような大規模な実施に対応するために,類似画像を検索・表示できる機能は重要であると考えられる.類似画像の検索には,「周波数特性」および「形態的特徴量」の2つの指標を用いることができる.周波数特性は,画像を2次元離散フーリエ変換することにより求めたスペクトル分布について,画像間のユークリッド距離を算出し,対象画像に対しユークリッド距離が最短のものを"最類似画像"として表示する.一方,形態的特徴量は前節で述べた12個の特徴量を用いて相関係数を算出し,値が最大であった画像を"最類似画像"として表示する.
2.3 システムの概要
構築した診断支援システムをFig.1に示す.GUIの作成にはMatlab6.5 (MathWorks Inc.)を使用した.診断の対象となる画像は@に表示され,Aにそのバウムの印象や診断結果を書き込むことができる.次に,Bの解析ウィンドウにてバウムの高さ等の指定を行い,12個の特徴量を自動的に算出する.算出された特徴量は,Cのレーダーチャートに表示される.対象者に過去の作品がある場合には,Dにて選択し,その画像はEに表示され,診断結果等の保存データはFで見ることができる.過去の作品の特徴量は,Cのレーダーチャートに重ねて表示し,特徴量の変化を可視化する.Gでは最類似画像が表示され,Hでその所見を見ることができる.Iは類似画像詳細ウィンドウであり,第3類似画像まで表示することが可能である.
Fig.1 システム画面1
|
Fig.2 システム画面2
|
|